Twitter上でちょっと話題になっていたので、タイピングの才能について書きたいとおもんます。

久々に長文です。競技としてのタイピングに興味がある人以外、退屈な記事だと思うので、そういう人は飛ばしてね!

 

まず、ブラインドタッチのレベルなら才能は関係ないです。誰でもできます。

問題は、タイピングを競技として見たとき、才能の影響がどれだけあるかってことですね

いきなり結論から言うと、タイピングは「他の競技と比べて才能の影響が大きい。ただし、競技の歴史が浅く、競技人口も非常に少ないので、努力とタイピング競技次第でトップレベルになれる人は結構な割合いる」というのが僕の仮説です。
僕自身、全然トップではないので、あくまで仮説でしかないのですが。

 

まず、「他の競技に比べて才能の影響が大きい」というところから。

スポーツでもいえることですが、「シンプルな競技ほど才能の影響が大きい」というのが僕の考えです。

たとえば短距離走やボディービルディングがそうですね。

どちらもシンプルな競技で、身体の能力が競技の実力にそのまま直結します。遺伝的に速筋の割合が高かったり、腱の長さだったりがトップになるには必須の競技です。


(速筋と遅筋の割合 「マラソンのタイムアップを目指し日々努力」より引用)

逆に、たとえば卓球なんかは、もちろん身体的な遺伝も重要な要素ではあるのですが、それなりに複雑な競技であるため、身体的な能力が劣っていても、技術や戦略など他の要素でカバーできます。

52歳で福原愛を破ったニシャリャン選手(朝日新聞DIGITALより引用

たとえば、↑の画像の選手は、52歳のときに、当時27歳の福原愛を破ってます。特殊なラバーと戦術を使っており、福原愛が終始混乱して負けていました。

短距離の世界で52歳がどんな戦略を立てても、技術を習得しても、世界トップレベルの選手に勝つことは不可能でしょう。

 

で、タイピングに戻ると、まずタイピングはとてもシンプルな競技です。速く打つ。それだけです。
他の競技と比べると戦略だったり、技術だったりの複雑さがあまりないといえると思います。

つまり、「指をどれだけ速く動かせるか」が、タイピング能力に直結してしまう競技と言えます。
そして、「指をどれだけ速く動かせるか」は、才能によるものが大きいと思われます。

以下はあるピアノのサイトから引用です。

生まれつき、薬指を伸ばす腱の一部が小指を伸ばす腱とつながっているために、小指を曲げた状態で薬指を完全に伸ばすことができない方がいます。曲げる筋肉も同じで、指の腱が他の人よりも多い方も少なくありません

(PTNA「第04回 身体が動く仕組み (3)指が独立に動く仕組み」 より引用)

生まれつきの腱の作りによって、5本の指をそれぞれ速く動かせるという能力は、実はある程度決まってしまっているのです。

また、指を速く動かす能力は、脳の能力とも大きく関係するのですが、その脳の能力も、子供のころに才能が作られてしまうといわれています。

指を速く動かすことができるピアニストは、専門的な音楽訓練を受けたことの無い人に比べて、この指を動かす神経細胞が多いことが報告されています。~中略~ さらに、これらの細胞の数は、「何歳からピアノを始めたか」、「毎日何時間練習したか」に比例するようです

(PTNA「第05回 身体が動く仕組み (4)指を速く動かす脳の仕組み」より引用)

 

以上のことから、タイピングという競技は才能の影響が大きい競技といえると思います。

 

ちなみに、「指の筋肉を鍛えれば」って意見もあるかもですが、どうやら指の筋肉と、指を動かすスピードに相関関係はないというのは実証されているようです(Aoki T, Furuya S, Kinoshita H (2005) Motor control)。

 

ただし、はじめに言ったように、タイピングは競技の歴史が浅く、競技人口も非常に少ないので、努力とタイピング競技次第でトップレベルになれる人は、決して少なくないと思います。

 

たとえば、先にあげた脳神経細胞ですが、子供のころに始めていればその方がいいですが、Newsweekの記事によると実は大人になってからも脳神経細胞は増え続けるということがわかっています。
(Newsweek 「脳神経細胞、年齢に関係なく増え続けることが判明」)

 

つまり、今からやっても、長期間訓練すれば脳が変わり、タイピング能力は大きく伸びるということです。

 

また、タイピング業界は「ひたすらタイピングをする」以外のトレーニングをしている人も、そう多くないと思います。
ボクサーにたとえるなら、筋トレも走りこみもしないで、スパーリングしかやってないみたいな。

最適化(ワードによって自分に最適な運指でタイピングすること)をそこまで深く追求している人も、脳のトレーニングを意識している人も数としてはそう多くないでしょうし。

 

まとめると、タイピングは遺伝だったり、子供の頃に形成される才能の影響が大きいが、タイピングの競技人口的に、しっかり戦略を立てて、効率的にトレーニングを積めば、才能が無いとしてもタイピングの何かしらの分野で1位になれる可能性はある。

そういう仮説を立てたお話でした。

異論は認める!


 
 

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